日本が誇る包丁ブランド「堺孝行」は、600年の伝統を持つ堺刃物の技術を現代に受け継ぎ、プロの料理人から高い評判を得ています。
中でも「グランドシェフ」シリーズは、洋食のプロ料理人向けに開発されたハイクオリティな包丁ラインです。堺孝行グランドシェフシリーズは、最高級ステンレス鋼材であるボーラー・ウッデホルム特殊鋼を採用し、驚異的な切れ味と優れた耐久性・防錆性を実現しています。
職人の確かな技術によって鋼材の特性を最大限に引き出し、洋包丁の「ファーストクラス」を目指して作られた本職用包丁です。
本記事では、この堺孝行「グランドシェフ」シリーズ各モデルの詳細な特徴と使用感をレビューします。
プロの洋食料理人の視点から、それぞれの包丁の材質や製造技術、刃の特性を解説し、創作口コミを交えながら実際の使用感をリアルにお伝えします。
どのような料理人に適しているか、選び方のポイントやメンテナンスアドバイスまで詳しくまとめました。プロの現場で信頼される一本を選ぶための参考になれば幸いです。
堺孝行には様々なシリーズがあります。
グランドシェフ(標準モデル)
グランドシェフSP(エスピー)
グランドシェフSP Type1
グランドシェフSP Type2
グランドシェフSP Type3
ランドシェフ マイカルタ
ここからは、堺孝行グランドシェフシリーズの各モデルについて詳しく見ていきましょう。
プロの料理人から寄せられる口コミ・評価も交えてレビューしていきます。
グランドシェフ(標準シリーズ)
堺孝行 グランドシェフは、プロの洋食シェフの要求に応えるべく作られた標準シリーズです。刃材には世界的に高品質で知られるボーラー・ウッデホルム特殊鋼(いわゆるスウェーデン鋼)を採用しており、切れ味の鋭さ、錆びにくさ、刃持ち(耐摩耗性)のいずれもトップクラスです。

①牛刀 | 19,100円 180mm 20,300円 210mm 23,700円 240mm 29,000円 270mm 33,900円 300mm 41,700円 330mm |
②牛刀(厚口) | 廃盤 |
③スライサー | 20,300円 210mm 23,700円 240mm 29,000円 270mm 33,900円 300mm |
④ナロースライサー | 27,900円 240mm 33,300円 270mm |
⑤様出刃 | 28,600円 210mm 33,900円 240mm 42,300円 270mm 45,800円 300mm |
⑥サバキ東型 | 20,700円 150mm |
⑦サバキ西型 | 21,600円 150mm |
⑧ペティナイフ | 12,100円 90mm 12,900円 120mm 14,000円 150mm |
⑨三徳 | 21,100円 180mm |
硬度はおおよそHRC58程度と推定され、硬すぎず研ぎ直しもしやすいため、プロ現場でのメンテナンスも比較的容易です。熟練の職人により丁寧に熱処理・研磨された刃は、食材への切り込みが驚くほどスムーズで、毎日の仕込み作業でも頼れる相棒となるでしょう。
製造技術 刃の特性 | グランドシェフ包丁の刃はオーソドックスな洋包丁の形状(両刃)で、牛刀(シェフナイフ)をはじめスライサー、ペティナイフ、三徳包丁など豊富なラインナップがあります。刃厚や形状は用途に応じて最適化されており、牛刀は適度な重量感と剛性がありながら先端にかけて薄く鋭く仕上げられているため、肉の筋や繊維を断ち切るのに最適です。また、スライサー系統では刃面にグランドトン(溝)加工が施されたモデルもあり、食材の張り付きや抵抗を減らす工夫がなされているものもあります。これは、スモークサーモンやローストビーフなどの薄切りがしやすく、食材が刃離れしやすいメリットがあります。 |
ハンドル 握り心地 | 標準モデルのグランドシェフはPOM樹脂製ハンドルを採用しています。POM樹脂は硬質プラスチックの一種で、耐水性・耐久性に優れ、長時間の使用でも劣化しにくい素材です。食器洗浄機や高温の乾燥機にも耐えられるため、業務用の厳しい衛生管理下でも安心して使用できます。ハンドル形状は丸みを帯びたヨーロピアンスタイルで、重量配分も刃と柄のバランスが取れているため、牛刀でも先重りせずコントロールしやすい特徴があります。 |
入社5年目のイタリアンシェフとして、朝の仕込みで大量の野菜をこのグランドシェフの牛刀でカットしています。箱出し直後から刃の切れ味が素晴らしく、玉ねぎのみじん切りでは刃がスッと入り、細かいみじんが均一に揃いました。ニンジンやジャガイモのような硬い野菜も力を入れずに滑らかに切断できるので、手首への負担が少ないです。ステンレス系の最高級素材とされるボーラー・ウッデホルム特殊鋼(スウェーデン鋼)製だけあって、切れ味だけでなく錆に強く摩耗しにくい点も頼もしいですね。実際、仕込み中に濡れたまままな板に置いていても刃こぼれや錆の心配をせずに安心して作業に集中できています。
握りやすさにも感動しました。柄には業務用に適したPOM樹脂素材が使われており、水や油で手が滑りがちな状況でもしっかりグリップできます。適度な重量バランスで安定感があり、細かな野菜の飾り切りから大きなキャベツの千切りまで包丁の重みと鋭さでスイスイと切れました。
ホテルのローストビーフカッティングサービスでグランドシェフの筋引き包丁を愛用しています。刃渡り270mmの長い刃を活かし、分厚いローストビーフの塊でも刃先を引くだけでスーッと一刀でスライス可能です。驚くほど滑らかな切断面で、お客様に提供するローストビーフの断面は光沢がありジュージーさを湛えています。繊維を潰さず美しく切れるので、肉汁を逃さず旨みをしっかり閉じ込めたまま提供できる点に毎回惚れ惚れします。ステンレス鋼の包丁は和包丁に比べて切れ味が劣るのではと最初心配しましたが、このグランドシェフシリーズは硬度HRC58のプロ仕様だけあって切れ味の持続性も十分。丸一日で数十皿分のローストビーフを切り分けても、刃先の鈍りをほとんど感じません。
グランドシェフSP(エス・ピー シリーズ)
次に紹介する「グランドシェフSP」は、標準モデルをさらに進化させたハイエンドラインともいえるシリーズです。基本構造や刃材は標準モデルと同じくボーラー・ウッデホルム特殊鋼ですが、SPでは刃身の加工や仕上げに独自の工夫が凝らされています。

①牛刀 | 20,500円 180mm 23,600円 210mm 28,100円 240mm 31,700円 270mm 38,000円 300mm |
②サーモンスライサー | 29,000円 240mm 35,200円 270mm 41,100円 300mm |
③スライサー | 28,100円 240mm 31,600円 270mm 38,000円 300mm |
④三徳 | 23,600円 180mm |
⑤サバキ東型 | 23,500円 150mm |
⑥ペティナイフ | 14,500円 120mm 15,700円 150mm |
グランドシェフSP最大の特徴は、刃面に施された溝(ハローグラウンド)加工です。
これにより、切断時に刃と食材の接触面積を減らし抵抗を大幅に減少。チーズやジャガイモ、生の魚など粘着質の食材でもスパッと切れ、刃離れが良いのが特徴です。
例えば大きな塊肉をスライスする筋引包丁(スライサー)や、刺身を薄造りに引く際などに威力を発揮し、料理の断面が美しく仕上がります。もちろん刃の鋭利さや耐久性も非常に高く、長時間使用でも切れ味が持続しやすいというメリットがあります。
グランドシェフSPの標準ハンドルもPOM樹脂製で、基本形状はグランドシェフと同様。ただし細部の仕上げや質感がよりプレミアム感を高めるものになっており、黒の樹脂ハンドルはシックでプロフェッショナルな印象を与えます。高温にも強く、リベット仕上げや口金の加工も丁寧で衛生的に使えるよう配慮されています。
握った瞬間に感じる手馴染みの良さと適度な重量感に、「これが一流の包丁か…!」と胸が高鳴ったのを覚えています。実際に野菜をカットしてみると、トマトの薄切りも包丁の重みを活かしてスッと引くだけで潰れることなく切れました。ブレード表面には細かな溝(グラントン)が入っており、切り込んだ時の抵抗を減らしてくれる設計です。そのおかげか、ジャガイモやカボチャなど粘着質の食材を切っても、スパッと切れ味が入り込んで食材が刃に張り付くストレスがほとんどありません。「今まで体感したことのない切れ味」というメーカーの謳い文句もうなずけます。
ホテルのローストビーフカッティングサービスでグランドシェフの筋引き包丁を愛用しています。刃渡り270mmの長い刃を活かし、分厚いローストビーフの塊でも刃先を引くだけでスーッと一刀でスライス可能です。驚くほど滑らかな切断面で、お客様に提供するローストビーフの断面は光沢がありジュージーさを湛えています。繊維を潰さず美しく切れるので、肉汁を逃さず旨みをしっかり閉じ込めたまま提供できる点に毎回惚れ惚れします。ステンレス鋼の包丁は和包丁に比べて切れ味が劣るのではと最初心配しましたが、このグランドシェフシリーズは硬度HRC58のプロ仕様だけあって切れ味の持続性も十分。丸一日で数十皿分のローストビーフを切り分けても、刃先の鈍りをほとんど感じません。
グランドシェフSP
グランドシェフSPシリーズには、所有欲をさらに満たし、用途や嗜好に応じて選べるモデルとして「Type1」「Type2」「Type3」が存在します。これらは刃身の性能自体はSP標準モデルと同等ですが、ハンドル素材やデザインの違いによって独自の魅力を備えるプレミアムラインです。
グランドシェフSP Type1

①牛刀 | 51,500円 210mm 56,000円 240mm 59,600円 270mm |
②スライサー | 56,000円 240mm 59,600円 270mm |
③ペティナイフ | 38,100円 120mm 39,300円 150mm |
④サバキ東型 | 51,500円 150mm |
Type1の最大の特徴はハンドルにデザートアイアンウッドという高級天然木を採用していることです。
アメリカ南西部の砂漠地帯で半化石化した非常に硬質な木材で、美しい光沢と緻密な木目から「木の王様」と称されます。1本ごとに異なる模様を持ち、重厚な雰囲気と高い耐久性を両立しているのが魅力です。
刃そのものはSP同様にボーラー・ウッデホルム特殊鋼のため、切れ味と防錆性もトップクラス。アイアンウッド柄はPOM樹脂よりやや重めですが、手にしっくりなじむ質感とバランス感を生み出します。
木柄ならではの温かみと吸いつくようなフィット感があり、長時間の仕込みでも疲れにくい仕様となっています。ただし食洗機や高温下での利用は避け、使用後は水気を拭き取るなど木柄ならではのケアが必要。そうした手間も「道具を育てる楽しみ」に変えられる料理人にはぴったりです。
和食出身で現在フレンチの料理長を務める私は、趣味も兼ねて包丁集めをしていますが、中でもお気に入りがグランドシェフSP Type1の牛刀です。まず目を奪われるのがハンドル部分の美しさでしょう。柄に使われているのは希少なデザートアイアンウッド(砂漠鉄木)で、長い年月砂に埋もれて半分石化した天然木とのこと。磨かれたその木目は深みのある光沢を放ち、「木の王様」と呼ばれるのも納得の高級感があります。実際に手に取ると木材とは思えないほどの重量感と硬さがあり、包丁全体のバランスがしっかり手元にくる感覚です。まな板に刃を入れた瞬間、重厚な安定感とともに食材に吸い込まれるような切れ味を感じ、「別格の包丁だ…」と思わず独りごちてしまいました。
老舗ホテルの宴会場で肉のカッティングサービスを担当するシェフ歴30年の私が、晴れの日の舞台で愛用しているのがグランドシェフSP Type1の筋引きです。磨き上げられた刃とデザートアイアンウッドの風格ある柄を携え、お客様の前でローストビーフを一本筋引きで切り分ける様は、自分で言うのもなんですが絵になるものがあります。実際の使い心地も素晴らしく、分厚いローストビーフの塊に刃を入れると、抵抗なくスッと切断できました。外側の香ばしい肉の皮も潰さず切り離せるため、断面は美しいピンク色のレア肉が顔を出し、ゲストから思わず歓声があがるほどです。
グランドシェフSP Type2

①牛刀 | 77,000円 210mm 81,300円 240mm 85,000円 270mm |
②スライサー | 81,800円 240mm 85,500円 270mm |
③ペティナイフ | 59,900円 120mm 61,000円 150mm |
④サバキ東型 | 77,200円 150mm |
Type2もアイアンウッド柄をベースにしつつ、柄頭の金属部分に銃砲彫刻師による手彫りの紋様が施されている限定的なプレミアムモデル。一つとして同じ模様がなく、芸術作品のような唯一無二の仕上がりです。生産本数も限られており、入手が難しい場合もある希少性の高い包丁です。
刃の性能はSPシリーズと同じですが、ハンドルの金属装飾がさらに所有する喜びを高めてくれます。日々のハードな現場で使いつつも、目にするたびに「自分だけの特別な道具」というモチベーションを与えてくれます。
牛刀としての性能は折り紙付きで、厚みのある塊肉から繊細な野菜のカットまで難なくこなせます。ボーラーウッデホルム特殊鋼の鋭い刃は食材への食い込みが非常によく、トマトを薄切りにしても断面が潰れません。刃に入った溝が食材との摩擦を減らすため、調理中に材料が刃に貼り付くストレスも少ないです。実際、刺身用のサクをスッと引いて切った際も、身が包丁に吸い付かずきれいに切り離せました。握り心地は重厚感がありますが、バランスが良いので長時間使っても手首が疲れにくいですね。
シャルキュトリ(肉の加工品)専門店のオーナーシェフである私は、自家製の生ハムやサラミのスライスにグランドシェフSP Type2の筋引きを使用しています。この筋引き包丁を初めて厨房に持ち込んだとき、スタッフたちから「すごい彫刻の包丁ですね!」と注目の的になりました。ハンドルエンドの手彫り模様はやはり唯一無二で、プロ仲間内でも話題になりますが、切れ味に関しても「さすが堺孝行」と唸らされる性能です。塩漬けして熟成させた生ハム原木も、刃を滑らせるだけで薄紙のようにスライスできます。繊維を断ち切るというより、刃が勝手に食い込んでいく感覚で、半透明に透ける極薄の生ハムが次々と生まれました。包丁の重さに任せて引けば、表面に付いた胡椒粒までも美しく断面で二分されるほどの切れ味で、断面の美しさに惚れ惚れします。
グランドシェフSP Type3

①牛刀(パール) | 51,000円 210mm 56,000円 240mm |
②牛刀(ジャングル) | 51,000円 210mm 56,000円 240mm |
③牛刀(ヴォルケーノ) | 51,000円 210mm 56,000円 240mm |
④牛刀(オーシャン) | 51,000円 210mm 56,000円 240mm |
⑤牛刀(ギャラクシー) | 51,000円 210mm 56,000円 240mm |

⑥筋引(パール) | 56,000円 240mm |
⑦筋引(ジャングル) | 56,000円 240mm |
⑧筋引(ヴォルケーノ) | 56,000円 240mm |
⑨筋引(オーシャン) | 56,000円 240mm |
⑩筋引(ギャラクシー) | 56,000円 240mm |

11.ぺテ(パール) | 39,300円 150mm |
12.ぺテ(ジャングル) | 39,300円 150mm |
13.ぺテ(ヴォルケーノ) | 39,300円 150mm |
14.ぺテ(オーシャン) | 39,300円 150mm |
15.ぺテ(ギャラクシー) | 39,300円 150mm |
Type3はアクリル樹脂ハンドルを採用し、透明感やパール調、マーブル模様などバリエーション豊富な見た目が最大の特徴です。硬質で耐水性・耐久性も高く、デザイン性と機能性を両立したモダンなモデル。光の当たり具合で表情を変える柄は一本ごとに異なり、自分好みの色や模様を選ぶ楽しみがあります。
刃の切れ味や耐久性はSPシリーズ共通で申し分なし。アクリル樹脂は軽量で、水や汚れに強い反面、高温には弱いので食洗機の利用は推奨されません。日常的な手洗いであれば問題なく、見た目が美しいだけでなく滑りにくさもあるので、実際の使用感にも優れています。
創作ダイニングで料理長を務める私は、カウンターキッチンでのパフォーマンスも重視しています。そこで活躍しているのが見た目も華やかなグランドシェフSP Type3の牛刀です。まず目を引くのはアクリル樹脂製のハンドルで、私のものは青と黒が流れるように混ざった「ギャラクシー」柄。透明感と奥行きのある模様で、握るたびに違った表情を見せてくれます。アクリル樹脂はガラスの代用品とも呼ばれるほど透明度が高く、耐久性にも優れる新素材とのことで、まさにモダンでおしゃれな包丁に仕上がっています。しかも着色も自由自在で複雑に混ざり合った模様は一つとして同じものが作れないそうで、自分だけのオリジナル柄という特別感もお気に入りです。
寿司バー出身のシェフとして和洋折衷の料理を提供する私は、刺身を提供する際にもグランドシェフSP Type3の筋引きを使っています。一見洋包丁らしからぬポップな赤いアクリル柄ですが、その切れ味は本格派。特にマグロの柵を薄造りに引くとき、その真価が発揮されます。長い刃をゆっくり引いていくと、刺身包丁(柳刃包丁)にも劣らない綺麗な断面の切り身が得られました。身の繊維を全くつぶさずに切れるので、切り口にツヤがあり、舌触りも滑らかです。お刺身を盛り付ける際、切り口から染み出るドリップが極めて少ないのを見て、この包丁の鋭さと精度に改めて感心しました。ステンレス製なので和包丁のような水気や塩分による錆の心配がなく、刺身を引いた後すぐに他の調理に移れて扱いが楽です。
グランドシェフ マイカルタ
最後に紹介するのは「グランドシェフ マイカルタ」。ハンドル素材にマイカルタを用いたシリーズで、高い耐久性とデザイン性を併せ持っています。

①牛刀レッド | 23,900円 |
②牛刀ブラック | 23,900円 |
③牛刀グリーン | 23,900円 |
④牛刀ワインレッド | 23,900円 |
⑤筋引レッド | 27,300円 |
⑥筋引ブラック | 27,300円 |
⑦筋引グリーン | 27,300円 |
⑧筋引ワインレッド | 27,300円 |

9.三徳レッド | 24,800円 |
10.三徳ブラック | 24,800円 |
11.三徳グリーン | 24,800円 |
12.三徳ワインレッド | 24,800円 |
13.ペテレッド | 16,800円 |
14.ペテブラック | 16,800円 |
15.ペテグリーン | 16,800円 |
16.ペテワインレッド | 16,800円 |
マイカルタは、布や紙などの繊維基材にフェノール樹脂を含浸させ、積層・硬化させた工業材料です。ナイフのハンドル素材として古くから使われており、耐久性・耐湿性・耐熱性に優れる一方、適度なザラつきがあり手になじみやすいという特徴があります。
表面が使い込むほどに風合いを増し、経年変化が楽しめる素材です。グランドシェフ マイカルタではレッド、ブラック、グリーン、ワインレッドなど複数の色が展開され、プロの厨房で使いやすい落ち着いた雰囲気を保ちつつ個性を出せるモデルとなっています。
ボーラー・ウッデホルム特殊鋼をベースとした高品質ステンレス鋼を使用し、硬度や切れ味の面でもグランドシェフシリーズの名に恥じない性能を発揮。
錆びにくく研ぎ直ししやすいので、ハードな現場でも使いやすいのが魅力です。ラインナップとしては牛刀、筋引、三徳、ペティナイフが中心で、色違いのハンドルを選ぶ楽しみもあります。
マイカルタならではのザラつきはグリップ力を高め、手が濡れていても滑りにくいので安心感があります。木柄のように水気や乾燥で割れるリスクが低く、樹脂ハンドルほどツルツルしすぎない絶妙な手触りを実現。
長年使い込んでも柄のネジやカシメが緩みにくく、道具としてタフさを重視する料理人にはうってつけです。
フランス料理店で副料理長を務める私は、実用性と高級感を兼ね備えた道具を好みます。グランドシェフ マイカルタの牛刀は、まさにそんな私のお眼鏡にかなった一本です。まず特筆すべきは柄の素材であるマイカルタ。米国で開発された高級積層強化素材で、布や紙を樹脂で固めたものだそうです。私の包丁は深いワインレッドのマイカルタ柄で、一見木製のような温かみがありますが、水や熱にも強く変形しない頼もしさがあります。握ってみると手になじむ微かなザラつきがあり、濡れた手でも滑りにくいのがプロ使用として嬉しいポイントです。実際、魚の下処理で手が汚れている状態でもしっかり握力を伝えられ、安定したカッティングができました。
和洋中を問わず腕を振るうレストランのシェフとして、用途別に包丁を使い分けていますが、中でも出番が多いのがグランドシェフ マイカルタの筋引きです。私が選んだのはシックなブラックの柄で、キッチンでひときわ存在感を放ちながらもどんな現場にもマッチする落ち着いた雰囲気があります。性能面では、さすがプロ向けに作られた本格洋包丁だと感じます。長さ270mmの筋引き刃は、サーモンのフィレを引くときにも一発でスッと引き切ることができ、断面が鏡のように滑らかです。お刺身用に白身魚を引いてみた際も、繊維をスパッと断ち切るので身崩れが全くありませんでした。肉のブロックを薄くスライスしてカルパッチョを作る際も、包丁の重さを活かして引くことで均一な薄さに仕上がり、素材の断面に艶が出て美しく盛り付けられます。
グランドシェフの各シリーズの総評
堺孝行「グランドシェフ」シリーズは、プロの洋食料理人から厚い信頼を寄せられる高品質包丁のラインナップです。
それぞれのモデルが明確なコンセプトと強みを持っており、料理人のスタイルや好みに応じて最適な一本を選べます。
最後に各モデルがどのような料理人・用途に適しているかを整理し、購入時のポイントやメンテナンスアドバイスと合わせて総評します。
グランドシェフ | 切れ味、耐久性、メンテナンス性のバランスが非常に良く、オールラウンドに活躍する包丁。初めて堺孝行を手にするプロや、毎日酷使する主力包丁が欲しいシェフに適しています。扱いやすさ重視の料理人にはベストな選択でしょう。価格帯もシリーズ内では比較的抑えめで、複数サイズを揃えても良いくらいです。購入時は、自分の主な用途に合った刃渡りを選ぶことがポイントです(例: 肉中心なら240mm、汎用なら210mmなど)。メンテナンス面ではステンレス鋼ゆえ基本的に錆の心配は少ないですが、長切れさせるためにも定期的な刃研ぎは必要です。砥石での研ぎを習慣にし、使った後は洗浄して水分をよく拭き取る程度で長く性能を維持できます。 |
グランドシェフSP | 標準モデルよりもさらに切れ味の持続性や刃の食い込みの良さを追求したモデル。特に溝付きの刃によるスムーズな切れ味を求めるプロに適しています。大量の仕込みで食材をスピーディーにさばきたいシェフや、料理の仕上がりの美しさにこだわる料理人にはSPがマッチするでしょう。価格は標準よりやや高めですが、その価値は十分に感じられるはずです。購入時には、標準モデル同様にサイズ選びが重要です。また、刃の溝は研ぎ直しの際に目詰まりしないよう注意が必要です。研ぐときは砥石の泥で溝を埋めてしまわぬよう、適宜水で洗い流しながら研ぎましょう。日常の手入れは通常通りで問題ありませんが、溝部分に汚れが残りやすいので、スポンジで丁寧に洗うと清潔に保てます。 |
グランドシェフSP Type1 | 包丁にも質感や伝統美を求める職人肌のシェフに向いた一本。アイアンウッドの重厚な柄は、手に馴染む感触と見た目の両方で所有者を満足させます。プロの現場で酷使しつつも、道具に愛着を持って大事に使いたいという方にピッタリです。和の素材感が好きな洋食シェフや、落ち着いた高級感を演出したい料理長にも評価されています。購入時には木目の表情が一本一本異なるため、自分の好みの木目・色味のものを選ぶ楽しみがあります。メンテナンスは、基本的に刃はステンレスなので楽ですが、木製ハンドルのケアがポイントです。長時間水につけない、洗ったらすぐ拭く、必要に応じて木製ハンドル用のオイルを薄く塗るといった手入れを習慣づければ、美しい柄を長年維持できます。 |
グランドシェフSP Type2 | 性能と実用性に加えて工芸品のような逸品を求める方に。料理人として腕を磨いてきた自分へのご褒美や、特別な日のための勝負包丁としてもふさわしいモデルです。キッチンでの話題作りや、お店のコンセプト演出(例えば高級店で道具にもこだわりを示す)など、実用+アルファの価値をもたらします。非常に高価ではありますが、人とは違う特別な一本を持ちたいというシェフには替え難い魅力があります。購入できる機会が限られる場合があるので、見つけたときが買い時かもしれません。メンテナンスはType1同様に木柄ケアをしつつ、彫刻部分に汚れが溜まらないよう歯ブラシなどで優しく洗うと良いでしょう。研ぎの際は口金部分を研ぎ石で擦らないよう注意して、せっかくの彫刻を傷つけないようにしてください。 |
グランドシェフSP Type3 | デザイン性と個性を重視する現代的なシェフにおすすめです。料理の腕前とともに道具にも自分らしさを反映させたいという若手のプロや、オープンキッチンでお客様との会話を楽しみたいシェフにも向いています。性能面はSPの折り紙付きの切れ味がありつつ、ハンドルのカラーバリエーションで遊び心を表現できます。価格はType1よりは抑えめで、手に取りやすいプレミアムモデルと言えます。購入時は、カラーパターンが一点一点異なるため、お気に入りの模様を探すのも楽しみです(オンライン購入の場合、写真と届くものが多少異なることもありますがそれもオンリーワンの証です)。メンテナンス面では、アクリル柄は基本的に水分や汚れに強くお手入れ簡単ですが、高温に注意という点だけ頭に入れておきましょう。食洗機は避け、直射日光下の保管も控えれば、変色や反りのリスクはほぼありません。日常的には柔らかい布で磨いてあげれば、いつまでも透明感ある輝きを放ってくれます。 |
グランドシェフ マイカルタ | 実用一辺倒ではなく適度なオシャレさや個性も楽しみたいというプロに向くシリーズです。性能は標準モデルに近く、ガンガン使っていけるタフさがありながら、マイカルタ柄の渋い色合いで所有する喜びも得られます。価格帯もおそらく標準モデルとSPの中間くらいで、コストパフォーマンスに優れた印象です。忙しい現場で使えるおしゃれ包丁を探している人には打ってつけでしょう。購入時は、自分の好きな色を選ぶ楽しさがあります。黒や深緑は他の道具とも調和しやすく、ワインレッドや赤も差し色になって素敵です。メンテナンスはほぼ標準モデル同様でOKですが、マイカルタ柄は使い込むと味が出る素材なので、あえて頻繁に磨きすぎず経年変化を楽しむのも手です。もちろん清潔に保つため洗浄と拭き取りは欠かさず、時折は柄に付着した油汚れを中性洗剤できれいに落としてあげましょう。頑丈な素材なので神経質になる必要はありません。 |
素材や切れ味や重量感を横並びで比較したものが以下となります。
モデル | 刃の材質 | 切れ味の特徴 | ハンドルの素材 | 重量感 | 特徴的なポイント |
---|---|---|---|---|---|
グランドシェフ | ボーラーウッデホルム特殊鋼(スウェーデン製高級ステンレス鋼)。錆びにくく摩耗耐性に優れる | 鋭い切れ味が長く持続するのが特長。不純物が少ない鋼材ゆえ刃持ちが非常に良い | POM樹脂製。高い耐久・耐水性能を持ち、食器洗浄機での使用も可能 | 軽量。POMハンドルの採用で包丁全体が比較的軽く、扱いやすいバランス | 鋼材の特性を最大限に引き出した洋包丁のファーストクラスを目指すモデル |
グランドシェフSP | ボーラーウッデホルム特殊鋼(高品質ステンレス刃物鋼) | 刃身に溝(グラントン)加工を施し、切断時の抵抗を低減。食材が刃に貼り付きにくく、驚くほど滑らかな切れ味 | POM樹脂製(耐水・耐久性が高く食洗機対応) | 標準的。POMハンドルにより軽快さは維持され、溝加工による重量減も僅かでベースモデルと同程度 | 刃に溝を入れることで、元モデル以上の切れ味の良さと切れ離れを実現した改良版 |
グランドシェフSP Type1 | ボーラーウッデホルム特殊鋼(溝付きブレード) | 溝加工による抵抗の少ない滑らかな切れ味はSPと同様。長切れ性能もプロ仕様レベル | 希少硬木デザートアイアンウッド製ハンドル。長期間砂中に埋もれて半化石化した木で、美しい光沢と木目を持つ「木の王様」と称される高級素材 | 重厚。硬質木材ハンドルの分だけ重量が増し、安定感のある手応え | 希少木材ハンドルによる高級感と重量感が特長。他シリーズにはない天然木の質感を持つプレミアムモデル |
グランドシェフSP Type2 | ボーラーウッデホルム特殊鋼(溝付きブレード) | 滑らかな切れ味・刃持ちはSP Type1と同等(溝入り刃による高い切断性能) | デザートアイアンウッド製ハンドル(Type1と同じ希少木材)。ハンドルエンドの金属プレートに銃砲彫刻師による精緻な手彫り模様を施した特別仕様 | 重厚。アイアンウッドと金属プレートによりシリーズ中最も重量を感じるモデル | ハンドルに施された手彫りの装飾(金属プレート)が唯一無二。刀身性能は同じまま、美術工芸品のような風格を備える |
グランドシェフSP Type3 | ボーラーウッデホルム特殊鋼(溝付きブレード) | 切れ味・刃持ちはSPシリーズ共通で非常に良好。耐錆性にも優れ、日常使いしやすい | アクリル樹脂製ハンドル。ガラスのような透明感と高い耐久性を持ち、複雑な着色模様も表現可能なモダン素材 | 標準的。樹脂柄でType1・2より軽く、POM柄モデルと同程度のバランス | Type1・2に続く第3のプレミアムモデルで、美しくモダンなデザインが際立つ。柄の模様は一点ごとに異なり、同じものが二つとない唯一無二の仕上がり |
グランドシェフ マイカルタ | スウェーデン産高級ステンレス鋼(ボーラーウッデホルム特殊鋼)を使用 | 高硬度ながら研ぎやすく、鋭い切れ味が持続。低不純物による高い耐摩耗性で刃が長持ちする | マイカルタ製ハンドル(布と樹脂の積層合成材)。堅牢性・耐水性・加工性に優れ、長年プロ用ハンドル素材として高い評価 | やや重め。樹脂製だが繊維強化により密度が高く、握るとずっしりとした安定感がある | 高性能な刃と高耐久ハンドルを組み合わせた本格洋包丁。ハンドルカラーは赤・黒・緑・ワインレッドの4色展開で好みに合わせて選択可能 |
まとめ
堺孝行「グランドシェフ」シリーズは、伝統に裏打ちされた確かな品質と現代的な工夫を融合させ、まさにプロ仕様にふさわしい信頼の切れ味を提供してくれます。
その評判の高さもうなずける完成度で、多くのシェフから愛用されています。道具選びは料理人にとって仕事の質やモチベーションを大きく左右する重要な要素です。
ぜひ本記事を参考に、あなたの厨房の良き相棒となる一本を見つけてください。選んだ包丁が手になじみ、毎日の料理を支えてくれることで、プロとしての仕事が一段と輝くでしょう。堺孝行 グランドシェフ包丁とともに、最高の調理体験を手に入れてください。
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