「魚を三枚おろしにする」――これを聞いただけで「難しそう…」と感じる方も多いのでは?職人技に感じますよね。ワンピースのサンジもよく「オロすぞ」と口にしていますが、同じ意味です。
実は筆者も最初は三枚おろしなど到底できないと思っていました。魚の身がボロボロになったり、骨がうまく外れなかったり。しかし、一度コツさえ掴めば、まるでプロが下ろしたように美しく仕上がる瞬間がきます。
この記事では、三枚おろしのコツを中心に、包丁の選び方や中骨の使い道、さらには刺身への切り方までをまとめました。最初の一匹で挫折しないためのポイントをぜひマスターしましょう。
三枚おろしとは?
最初にポイントをまとめると以下の通りです。
定義:背身・腹身・中骨(骨付き部分)の3パーツに分ける下処理
三枚おろしを行う理由:骨を除いて使いやすい身を手に入れ、刺身や焼き物、煮付けなど多様な調理が可能
○ 鮮度を落とさず魚を調理できる“丸ごと一尾”を買って、自宅でさばけば、店頭に並んでいた状態よりさらに美味しい鮮度を体感。
○ 身と骨を分けることで後の工程がラクになる焼き物や煮付け用としてバラバラに捌くより、シンプルに“背身・腹身・骨付き”に分かれているほうが後のアレンジがしやすい。
○ アラや中骨も有効活用出汁用・汁物用に分けて冷凍しておけば、いつでも手軽に料理のバリエーションを増やせる。
○ 家庭料理からプロ級の演出まで対応可能三枚おろしができれば、刺身・カルパッチョ・たたき・しゃぶしゃぶなど華やかなメニューにも展開可能。
初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、三枚おろしのコツを押さえて練習すれば、きっと“魚を捌く楽しさ”に目覚めるはずです。
最初は小さめの魚(アジ・イワシなど)から始めると失敗しにくいでしょう。上記のポイントの詳細は以下です。
三枚おろしの詳しい定義
魚の背身・腹身・骨付き部分に分ける
○ 魚の背側と腹側、そして中央の骨(中骨)付き部分を分割する技術。
○ 「背身・腹身を取り外して残ったパーツ(骨・頭・尻尾など)は“アラ”と呼ばれる」点も押さえておこう。
骨を取り除くことで“扱いやすい身”を得る
○ ただ単に2枚に分けるのではなく、「3つのパーツ」として整理することで、後の料理工程(刺身・焼き物・煮付けなど)が効率化される。
○ 背骨・腹骨・小骨などをまとめて除去できるため、食卓での「骨に当たって食べにくい」トラブルを大幅に減らせるのも利点。
プロも家庭も共通する下処理技術
○ 飲食店の仕込みで行われる“最も基本的な魚の下ろし方”とも言える。
○ 自宅でできると、購入した魚を自分好みに使い分け(刺身用・焼き用・汁用など)できるようになるため、料理の幅が格段に広がる。
なぜ三枚おろしをするのか?

刺身・焼き物・煮付けなど、多彩な料理に対応
○ 三枚に下ろした状態であれば、腹身の脂が乗った部分は刺身やしゃぶしゃぶ向き、背身は焼き物や煮付けなど、部位によって調理法を変える楽しみが生まれます。
○ 背骨や頭を外しておくので、魚種を問わず“食べやすい身”が手に入るのもメリット。
鮮度を保ちやすい“丸ごと買い”との相性
○ スーパーや鮮魚店で魚を丸ごと買うと、「どうやって捌こう…」と迷いがち。しかし、三枚おろしを覚えると丸ごとの魚を選びやすくなり、鮮度が高い状態の魚を手に入れられるチャンスが増えます。
○ 鮮度アップ=旨みアップ。刺身やたたきなど生食もより美味しく感じるでしょう。
アラや中骨も活用できる
○ 背骨・頭・中骨などは、捨ててしまうのはもったいない部位でもあります。
○ たとえばアラ汁や骨せんべい、出汁に利用することで、魚全体を余すところなく使える。「料理の無駄を減らし、旨みを余すところなく味わえる」のが魅力です。
魚の食感や旨みを最大化
○ 三枚おろしを行うと、骨が少ない状態の身を丁寧に扱えるため、火入れや味付けがしやすくなります。
○ 身の部位ごとに脂のノリが違う魚も多く、刺身用・焼き用で切り方を調整できるため、“味と食感の違い”を楽しみやすい。
料理の達成感と見栄え
○ 自分で三枚おろしを成功させると、料理の見栄えや完成度が一気に上がる実感を得られます。
○ 「魚を上手に捌ける人」=「料理上手」のイメージにつながり、実際の料理レパートリーも充実。
三枚おろしの骨の取り方&中骨の使い道!
三枚おろしを終えた魚には、腹骨や小骨が残っていることがよくあります。これらを丁寧に処理することで、食感が良くなり、仕上がりの完成度もアップします。
また、三枚おろしで残った中骨や頭、尻尾などのアラ部分も、実は料理に活用できる旨みの宝庫。捨てずに工夫して使うことで、一尾まるごと余すところなく楽しめます。
骨の取り方
○ 腹骨は包丁で、ピン骨は骨抜きを使って丁寧に除去することがポイント。
○ 特に小骨が多い魚は、食べる前にしっかり確認し、取り残しを防ぎましょう。
中骨の使い道
○ 捨てずに活用することで、料理のバリエーションや旨みがぐんと広がります。
○ アラ汁や骨せんべいは初心者でも簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください。
三枚おろしをマスターすれば、魚料理の楽しさが倍増します。特に骨やアラを活用することで、一尾の魚から最大限の旨みを引き出せるのが大きな魅力です。以下でさらなる骨の取り方・中骨の使い道を記載しております。
骨を取り除く手順
- 腹骨のカット
- 腹側に付いた薄い骨(腹骨)は、包丁を寝かせてカットします。
- 刃先を腹骨の曲線に沿わせるイメージで動かすと、余計な身を削らずに済みます。
- 小骨(ピン骨)の抜き取り
- サーモンやアジ、サバなどには、身に埋もれた小骨(ピン骨)が残る場合があります。
- 骨抜き(魚専用のピンセットやキッチン用トング)を使い、一本ずつ丁寧に抜き取ります。
取りやすくするコツ
- 小骨の方向を確認する
- 小骨は特定の方向に向かって埋まっています。軽く指で触れて、骨の生えている向きに合わせて引き抜くと、途中で折れずスムーズに抜けます。
- 水に濡らした骨抜きを使用
- 骨抜きを水に浸けて湿らせておくと、滑りにくくなり扱いやすい。
骨を見落とすと食感が悪くなり、せっかくの料理が台無しになることもあります。丁寧に取り除くことで、料理の仕上がりに高級感が生まれます。
中骨の使い道①:アラ汁

- 概要
- 中骨や頭を煮込むと、魚の旨みがたっぷり溶け出します。
- 味噌汁や潮汁、鍋のベーススープに最適。
- 作り方
- 中骨・頭を流水で洗い、血合いや鱗を綺麗に除去する。
- 鍋に水と酒、昆布を加えて沸騰させ、アラを投入。中火で10~15分ほど煮込む。
- 最後に味噌や塩を加えて味を調え、薬味(ネギ、三つ葉)を散らせば完成。
- ポイント
- アラの血合いをしっかり洗い流すことで、臭みのないスープが出来上がります。
中骨の使い道②:骨せんべい

- 概要
- 中骨をカラッと揚げて塩を振るだけで、香ばしいおつまみに。
- 子どものおやつやビールのお供としても大人気。
- 作り方
- 中骨を軽く塩水で洗い、水気をキッチンペーパーで拭き取る。
- 片栗粉や薄力粉を薄くまぶし、180℃の油でカリッと揚げる。
- 仕上げに塩やレモンを振りかけて完成。
- ポイント
- 中骨が長い場合は半分に切ると揚げやすい。
- 骨が太い魚の場合は揚げ時間を少し長めにすることで、よりパリパリの食感に。
三枚おろしで身がボロボロになる原因と対策
丁寧な下処理と適切な力配分が“三枚おろし”成功の鍵です。
○ うろこ取り・内臓処理
うろこや内臓を徹底的に取り除くことで、包丁が滑らず身も美しく仕上がる。
○ 骨に沿わせる
“骨を感じながら刃を動かす”意識があれば、力任せにするよりも身が崩れにくい。
○ 背→腹の順番
背身を先に外すと魚の形状が崩れにくく、腹側もスムーズに切り離せる。
○ 押し切りより引き切り
繊維を傷つけないように、包丁を引いてカットするのが基本。力を入れすぎず、伸びやかな刃の動きを心がけよう。
これらを意識するだけで、初心者でも三枚おろしの成功率はぐんと上がります。最初はアジなど小型の魚から練習すると失敗しづらく、コツを掴みやすいでしょう。ぜひチャレンジして、美しい三枚おろしを完成させてください。
それぞれの詳細は以下です。
うろこ取りや内臓処理が雑
原因:うろこが取りきれていないと、包丁が魚の表面を滑り、身をうまく捉えられない。内臓除去の際、大きく切り開きすぎると腹側の身が崩れやすくなる。
具体的対策:
うろこ取りをしっかり行う
○ 大きめの魚なら、流水下でうろこ取り器(または包丁の背)を使い、頭から尾に向かって根こそぎ落とす。
○ うろこを放置すると包丁が骨まで到達しづらくなり、結果として切り口がガタガタに。
内臓取りは最小限の切開で
○ 腹を大きく裂かず、肛門付近からエラに向かって最小限の切れ込みを入れるだけで済ませる。
○ 内臓を外に引き出すようにして除去すると、身を傷つけるリスクが減る。
包丁を骨に沿わせていない
原因:魚の骨(背骨・腹骨)を意識せず、力任せに包丁を立ててしまう。骨を“感じる”前に無理やり刃を通すと、身の繊維が引きちぎられがち。
具体的対策:
背骨に添わせるイメージで切る
○ 包丁を入れ始める際に、指先で骨の位置や角度を確かめながら刃を当てる。
○ 骨と身をゆっくり分離させる感覚で、焦らずに刃を動かすと切り口が綺麗に。
“骨から身を剥がす”手応えを感じ取る
○ 慣れないうちは、若干の引っかかりを覚えつつ、すっと骨に沿って動かす。
○ 手ごたえが得られたら、同じ角度をキープしつつ刃を引き切りするように動かすと、身が割れにくくなる。
背側と腹側を切る順番が逆
原因:腹から外そうとすると、骨の位置や背側の構造がうまく把握できず、身の厚い部分を崩してしまうことがある。通常は「背→腹」の順で外すとスムーズだが、逆にすると力の入りどころがズレる。
具体的対策:
背骨にそって背側を先に外す
○ 魚を横向きに置き、まず背中側の身を骨から剥がすようにカット。
○ 背身は比較的骨に沿って外しやすく、腹側を残すことで魚の形状をある程度キープできる。
次に腹側を外す
○ 背側を外した後は、腹側の骨付近の薄い身を剥がすように切る。
○ 腹側を先に切り始めるよりも、骨を感じ取りやすく、身が崩れにくくなる。
力加減のミス
原因:“押し切り”ばかりを使うと、繊維を押し潰してしまい、最終的に身がボロボロになる。包丁の刃先をうまく使わず、力だけでカットしようとする。
具体的対策:
“引き切り”を中心に
○ 包丁は押す動作ではなく、後方へ“引く動作”で切れ味を活かす道具。
○ “押し切り”は骨を叩き切るときなどに限り、基本は引き切りをメインにすると繊維を潰しにくい。
包丁の刃先を長く活用する
○ 短いストロークで何度もゴリゴリするより、スーッと長めに引き切る方が仕上がりが綺麗。
○ 可能なら包丁の幅以上に動かすイメージで、1回の切れ味を活かす。
三枚おろし向きおすすめの包丁!どれを選べばラクに下ろせる?
三枚おろし向けの主要包丁を比較しました。魚のサイズや、刺身まで仕上げるかどうかで選択肢が変わります。
包丁種類 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
出刃包丁 | – 刃が厚く骨ごと切れる- 重量があり、魚の頭や骨を落とすのに便利 | 大きめの魚を頻繁に捌く人骨付き肉も豪快に扱いたい人 |
三徳包丁 | – 肉・魚・野菜と万能にこなせるが、厚い骨には力不足 | 普段1本で済ませたい初心者中型以下の魚で三枚おろしをするとき |
柳刃包丁 | – 刺身を美しく切るための細長い刃 – 骨を落とす力仕事には不向き | 刺身の仕上がりや盛り付けにこだわる人出刃包丁で骨処理を済ませた後の切り分けに |
ペティナイフ | – 小魚や細かいトリミングに便利 – 骨付き大型魚には力不足 | 小さい魚や仕上げの細かい作業を頻繁にする人サブ包丁として活躍 |
三枚おろし〜刺身までの流れをわかりやすく整理
三枚おろしから刺身を完成させるまで、初心者が混乱しがちな工程をわかりやすくまとめました。
工程 | 手順・ポイント | 初心者の注意点 |
---|---|---|
うろこ取り・内臓処理 | – うろこを丁寧に取り、エラや内臓を最小限に切開して除去 | うろこが残ると包丁が滑り、身がボロボロに |
三枚おろし | – 背側→腹側の順で外す – 骨に沿わせて刃を動かす | “押し切り”より“引き切り”を意識。無理に力を入れない |
皮引き | – 皮と身の間に包丁を滑らせる – 皮を引っ張りながら軽く包丁を動かす | 力任せにすると身が破れやすい。包丁を寝かせるのがコツ |
骨抜き | – 残った小骨を引き抜く – 骨抜きを水で濡らしながら作業すると掴みやすい | 小骨を見落とすと食感が悪くなる |
刺身切り | – 包丁を引きながら一気にカット – 厚みは好みに合わせる | 刃に食材を押しつけず、サクッと引いて切ると断面が美しい |
まとめ
長文お付き合いいただきありがとうございます。本記事のまとめです。
三枚おろしに自信がつくと、魚料理の幅が一気に広がる
○ 背開きから刺身作りまで、魚の魅力を最大限活かす調理が可能
○ 骨やアラもスープや汁物に活用でき、フードロスも減らせる
身がボロボロになる原因は技術だけじゃない
○ 包丁の種類や魚のサイズ、うろこ・内臓の処理など複数の要因が絡む
○ “背→腹”の順番や“引き切り”を意識するだけでも、仕上がりが改善される
初心者でも習得可能
○ 最初のうちは失敗しやすいが、正しいコツさえ押さえれば誰でも三枚おろしは習得可能
○ 包丁選びも大事。出刃包丁や三徳包丁を上手く使い分ければ、格段に楽になる
魚を思い通りに下ろせるようになると、料理がもっとクリエイティブに、そして楽しく感じられます。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、ぜひ本記事で紹介した三枚おろしのコツや包丁選びを実践してみてください。慣れてきたころには、「魚を捌くのがこんなに気持ちいいなんて・・・」ときっと驚くはずです。
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