今回紹介する堺刀司を運営しているのは株式会社和泉利器製作所です。
堺刀司としての創立は文化2年(1867年)ですが株式会社和泉利器製作所としての会社設立は1967年となっています。
堺の伝統鍛冶技術を基盤に、熟練職人の手作業と最新技術を融合して、一生ものの包丁を生み出してきました。
現在の社長は信田尚男で八代目堺刀司となっており受け継がれている伝統の重みを感じますね。

信田社長のリーダーシップのもと、品質と伝統を守りながらも革新を追求し、国内外で高い評価を受ける製品を提供しています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 株式会社 和泉利器製作所 |
創立 | 文化2年(1805年) |
会社設立 | 昭和42年(1967年) |
代表者 | 信田 尚男(八代目) |
資本金 | 1000万円 |
事業内容 | 伝統の鍛冶技術と革新を融合させた高級和包丁・洋包丁など各種刃物の企画、製造、販売。 国内外への輸出や伝統技術の継承にも力を注いでいます。 |
所在地 | 〒599-8215 大阪府堺市堺区九間町東1丁1番5号 |
それでは堺刀司の歴史や特徴、包丁のラインナップについてお伝えしていきたいと思います。
堺刀司の歴史や特徴
堺刀司の歴史や特徴についてお伝えしていきたいと思います。
歴史と伝統
堺刀司は、大阪・堺という日本有数の刃物産地で創業以来、長い歴史の中で伝統鍛冶技術を守り続けてきました。

先人たちが培った熟練の技術を基盤としながら代々の経験と情熱を受け継ぎ、一つ一つ丹念に包丁を仕上げています。
古来からの本焼(水焼入)など伝統技法を大切にし、その背景にある地域文化と匠の精神が、堺刀司の製品に息づいています。
以下は沿革の抜粋ですが皇室にも献上しており一級品の包丁を製造していることが伺えます。

技術と製法
堺刀司は、伝統の鍛造技術を基礎に、最新の加工機器や品質管理システムを取り入れた先進的な製造体制を築いています。
熟練の職人が手作業で丁寧に仕上げる工程により、切れ味の鋭さ、耐久性、さらには美しい仕上がりが実現されています。
各工程では、細部にわたる品質チェックが行われ、伝統技術と現代技術の融合が高い信頼性の源となっています。
製品ラインナップと特徴
堺刀司は、家庭用からプロ仕様まで幅広い種類の包丁を展開しています。
和包丁、洋包丁、専門用途向けの特殊包丁など、用途に応じたラインナップは、料理人の多様なニーズに応えるだけでなく、その美しさや使い心地にもこだわりが感じられます。
各シリーズは、素材、鍛造法、研ぎ上げ方に違いがあり、伝統的な美意識と機能性が両立した逸品として、多くの支持を集めています。
企業理念と組織体制
「伝統を守りながら革新を進める」という理念のもと、堺刀司は堺の歴史と文化に根ざしながらも、常に新しい技術の導入や製品開発に挑戦しています。
熟練の技術者や職人の育成にも注力し、伝統技術を次世代へ確実に伝承する仕組みを整えています。
この姿勢は、企業全体の品質向上と信頼性の確保に直結しており、国内外のプロフェッショナルからも高い評価を受けています。
堺刀司の包丁は和食の一流の料理人にも評判
堺刀司は和食の名店のシェフ達から高い支持を得ています。

銀座ろくさん亭は、料理の鉄人としても知られる道場六三郎が手掛ける和食料理店。旬の食材を活かし、繊細な味わいと洗練された盛り付けが特徴です。日本料理の伝統を大切にしながらも革新を取り入れ、上質な食体験を提供します。
また神田川の料理長も推薦しています。

神田川は、「浪花の料理人」として名高い神田川俊郎氏が創業した大阪の老舗和食店です。上方料理をベースに、厳選素材を活かした繊細で豊かな味わいが魅力。伝統を重んじつつ革新も取り入れ、懐石や鍋など多彩な料理を提供しています。
堺刀司の包丁シリーズ
堺刀司の代表的な包丁シリーズ(岩國作や正成作を含む)について、素材・用途・価格帯をまとめたものが以下となります。
シリーズ | 素材 | 用途 | 価格帯(大まか) |
---|---|---|---|
岩國作 (いわくにさく) | 高級炭素鋼(例: 安来鋼)を本鍛造した和包丁シリーズ。水牛角の口金付きの本格和包丁で、摩耗しにくく切れ味長持ち。 | 伝統的な和包丁の最高峰。プロの料理人向けに作られた“一生もの”の包丁で、食材の持ち味を活かす切れ味を追求。 | 高価格帯(数万円~数十万円)。堺刀司のハイエンドブランドで、他シリーズより価格が高く位置づけられる。※本焼き出刃包丁の例: 約209,000円 |
正成作 (正重作) しょうじゅうさく | 安来鋼などの炭素鋼を鍛造した和包丁シリーズ。刃身は安来鋼で鍛えられ、柄は朴木(ほお)の和包丁柄にステンレス口金を採用したモデルもあり。 | プロから家庭まで使いやすい和包丁のスタンダードシリーズ。切れ味が良く研ぎやすいのが特長で、家庭用包丁として扱いやすい。堺刀司の和包丁入門用としても適する。 | 中価格帯(約1~2万円前後)。岩國作より廉価でコストパフォーマンスが高い。例:刺身包丁15,950円~、三徳包丁16,500円~ |
MXMシリーズ | 刀身はモリブデン鋼製で錆びに強く切れ味が持続。ツバ(口金)部分が刃身と一体成型されたオールステンレス構造で、柄はミックス合板(積層強化木)を使用。 | 堺刀司の人気シリーズで、丈夫で衛生的な包丁。錆びにくく耐久性が高いのでプロにも愛用され、初心者にも使いやすい万能包丁ライン。和包丁・洋包丁問わず種類が豊富。 | 中価格帯(1~3万円程度)。三徳包丁で約20,680円、ペティナイフ約12,100円など。大型の出刃包丁等は3万円台~5万円程度。 |
シェフズナイフ M-2シリーズ | 刀身:高炭素モリブデンステンレス鋼。柄:ステンレス製(刀身とハンドルを機能に適した異種金属で特殊溶接し一体化)。刃身と柄が一体成型されたオールステンレス包丁で、水や雑菌の侵入がなく衛生的。モリブデン鋼は不純物を減らし炭素量を高めてあり、ステンレス包丁として刃付き・刃持ちに優れる。 | プロの厨房や衛生管理が必要な現場で使いやすい設計。継ぎ目がないため雑菌が付きにくく、食器洗浄機対応でお手入れ簡単。錆に強く長切れするので、家庭用にも長く使える。 | 中価格帯(1~2万円台)。牛刀210mmで約20,350円、ペティナイフ120mmで約10,450円。サイズ展開により1万円前後~2万円強の価格帯。 |
ラ・プレミア | 刃身とハンドルに隙間のないステンレス一体構造。刃身は錆びに強いモリブデン・バナジウム鋼を芯材に、13クロムステンレス鋼で両側から挟んだ三層鋼になっている。 | デザインと実用性を両立した高品質シリーズ。継ぎ目のない構造で衛生的かつ丈夫。錆びにくい三層鋼の刃により切れ味とメンテナンス性が高く、業務用・家庭用を問わず扱いやすい。食器洗浄機対応でお手入れも容易。 | 中価格帯(2万円前後)。牛刀210mmの参考価格は約26,400円。サイズによって1万台後半~3万円弱程度。 |
九間丁 (きゅうけんちょう) | 硬質材と軟質材を交互に重ね、中心に硬質の特殊合金鋼を割り込ませた33層ダマスカス鋼の包丁。美しい波状のダマスカス模様が特徴で、柄には黒マイカルタ(樹脂含浸麻布の積層材)を採用s。耐熱・耐水性に優れ変形が少ない握り柄。 | 堺刀司の高級洋包丁シリーズ。熟練職人が手掛ける本格派で、見た目の美しさと高い硬度の芯材による鋭い切れ味を両立。プロのシェフや本格的な包丁を求めるユーザーにおすすめの逸品で、牛刀や三徳など洋包丁が中心。 | 中〜高価格帯。高級ラインのため価格は高めで、牛刀20cmが約41,800円、ペティナイフでも2万円台~と高価。 |
COMシリーズ | 刀身:モリブデン・バナジウム鋼(錆びに強く切れ味良好)。柄:抗菌加工を施した樹脂ハンドルで5色展開、130℃耐熱で食洗機対応可能。高い技術で刃付けされたステンレス包丁で、基本性能が高くコスパに優れる。 | ハンドルの色分けで食材別の使い分けや衛生管理がしやすい実用シリーズ。耐久性・耐腐食性に優れ、業務用厨房から家庭まで幅広く使える。初心者が最初に使う包丁としても適し、長時間の使用でも扱いやすい軽量設計。 | 低価格帯(1万円以下~1万円程度)。三徳包丁で約8,800円と手頃。サイズ・種類によるが5千円台から1万円前後で購入でき、廉価ながら高い性能を持つ。 |
重光作 (しげみつさく) | 刃物鋼(炭素鋼)を鍛造した和包丁シリーズ。堺刀司の登録商標「重光」の銘が入った包丁で、口金は樹脂や金属が用いられる。伝統的な和包丁の製法で作られ、白鋼系の鋼を使った本格派刃物。 | 初めて本格的な和包丁を持つ方に適したエントリーシリーズ。プロの研ぎにも耐える刃を備えつつ価格を抑えており、家庭用や和食入門用として人気。出刃や柳刃など和包丁各種をラインナップし、手頃な価格で堺打刃物の切れ味を体験できる。 | 低価格帯(~1万円前後)。堺刀司の和包丁では最も求めやすい価格帯で、三徳包丁180mmが約9,900円、出刃包丁165mmでも8,690円程度。手頃な価格で提供される。 |
日の出 (ひので) | 刀身:モリブデン鋼(錆びに強いステンレス刃物鋼)。柄:長時間使っても疲れにくい丸みのあるデザインに仕上げたハンドルを採用。洋包丁スタイルのシリーズで、刃身・柄ともシンプルかつ実用的な構造。 | 毎日使う家庭向け包丁シリーズ。握りやすく手になじむ柄形状で、長時間の調理でも負担が少ないよう設計されている。錆びにくい素材を使用しており、家庭用の三徳包丁や牛刀として使いやすい。 | 中価格帯(1万~2万円程度)。ペティナイフで16,500円。三徳包丁や牛刀はそれよりやや高めで、概ね1万円台後半の価格設定。 |
重光印ステンレス | 刀身:ステンレス鋼(錆びに強くお手入れ簡単)。堺にゆかりのモチーフをあしらったデザインの包丁もあり、堺刀司「重光」ブランドの廉価版ステンレス和包丁シリーズ。柄は朴木など天然木にプラスチック口金を組み合わせた伝統型。 | 初めて包丁を持つ方にお勧めの低価格シリーズ。錆びにくいステンレス製で扱いやすく、和包丁の形状ながらメンテナンス性が高い。家庭用として研がずに使える実用性を重視し、和食入門者や日常使いに適する。 | 低価格帯(~1万円以下)。シリーズ中最も安価で、三徳包丁170mmが約6,600円と非常に手頃。ステンレス製の柳刃包丁やペティナイフも1万円未満で入手可能な価格設定。 |
いずれも堺刀司(和泉利器製作所)が培った伝統と技術によって生み出された包丁ラインであり、用途や予算に応じて選択できます。
例えば、プロ志向で最高級の切れ味を求めるなら岩國作、手頃な価格で和包丁を試すなら重光作や重光印ステンレス、錆びにくさ重視ならMXMや日の出シリーズ、といった具合に選べるようになっています。
各シリーズとも素材や構造に特徴があり、価格帯も大まかに上記のように分類できます。
まとめ
堺刀司は、200年以上の歴史を持つ堺の伝統的な刃物メーカーであり、熟練の職人技と最新技術を融合させた高品質な包丁を提供しています。
その製品は、国内外の一流料理人から高い評価を受けており、プロフェッショナルから家庭の料理愛好家まで幅広く支持されています。
堺刀司の包丁は、優れた切れ味と耐久性を兼ね備え、料理の質を高める頼れる道具として、多くの人々に愛用されています。
コメント