冷凍包丁は凍った食材を安全かつ確実に切るために設計された特別な包丁です。
刃先にギザギザ状の波刃があるものが多く、切り込みを入れやすいうえに破損しにくい特徴があります。また、刃自体が厚めで強度が高いため、硬い冷凍食品も切断しやすいです。
本日は冷凍包丁の特徴、選び方や、おすすめの包丁をお伝えしていきたいと思います。
冷凍包丁の特徴
冷凍包丁は、凍った食材を切りやすくするために以下のような特徴を持っています。

1.厚みのある頑丈な刃
冷凍食品の硬さに対応するため、刃が一般的な包丁よりも厚く、割れや曲がりが起こりにくい設計です。
2.ギザギザや波刃の刃先
冷凍食品に刃を食い込ませやすく、滑りにくくするため、刃先に特殊なギザギザや波刃を採用している場合が多いです。
3.滑りにくいハンドル
固い食材を切る際に力を込めても手が滑りにくいよう、ハンドルに凹凸や特殊加工が施されています。
4.全性の向上
冷凍食品を無理に普通の包丁で切ろうとすると刃を傷めたり、ケガのリスクが高まりますが、冷凍包丁はそうした危険を軽減する設計がされています。
冷凍包丁の歴史
冷凍包丁に特化したはっきりとした年代や起源を示す記録は多くありませんが、凍ったままの食材を扱う必要が生まれた背景としては、以下の流れが関係しています。
冷凍技術と冷凍食品の普及(20世紀前半~中盤)
冷凍食品の大量生産は、1920年代頃にアメリカでクラレンス・バードアイ(Clarence Birdseye)が急速冷凍技術を開発したことが端緒とされています。
第二次世界大戦後になると家庭用冷蔵庫・冷凍庫が普及し、世界的に冷凍食品市場が急拡大しました。
業務用の「凍った塊」を切るための専用刃物の誕生
もともと肉の解体現場や食肉加工工場などでは、鋸(ノコギリ)や大型の包丁が使われていました.
時代の経過に伴い家庭用でも「凍った塊を切り分けたい」というニーズが高まり、より小型で扱いやすい“冷凍専用”の刃物が求められるようになりました。
業務用の特殊ノコギリやスライサーの技術をヒントに、強靭さと切り込みやすさを両立する包丁が開発されていったと考えられます。
家庭用の冷凍包丁としての進化(20世紀後半~)
日本では高度経済成長期(1960~70年代)に冷蔵庫が急速に普及し、同時に冷凍食品市場も拡大しました。
食卓で手軽に冷凍食材を扱いたいという需要に応える形で、ステンレス鋼を使用し、刃先をギザ刃・波刃にした「冷凍包丁」が家庭用にも出回るようになります。
現代の冷凍包丁
現在は各メーカーが業務用・家庭用向けに、厚みのある刃や滑りにくいハンドルなど安全・衛生面を考慮した多様な冷凍包丁を開発しています。
冷凍食品の種類や調理スタイルが増えたこともあり、商品バリエーションが豊富になり、切れ味と耐久性のバランスがより追求されてきています。
このように、冷凍包丁の歴史は「冷凍技術の進歩と普及」によって需要が生まれ、業務用から家庭用へと波及していった流れの中で形成されていったと考えられます。
冷凍包丁の使い方
冷凍包丁で冷凍肉を切るときの手順についてお伝えします。
まな板をしっかり固定できる場所を選び、滑り止めシートなどを使うとより安全です。
完全にガチガチに凍ったものは、少し解凍して硬さが若干ゆるんだ状態にすると切りやすくなります。ただし、衛生面に注意しつつ部分解凍を行いましょう。
冷凍包丁の刃先を冷凍肉にあて、押し付けるのではなく、やや“のこぎり”を引くようなイメージで前後に動かしながら切ります。力を入れすぎず、包丁の刃先のギザギザや波刃が食材にしっかり当たるよう意識しましょう。
一度で無理に切り落とそうとすると、刃を傷めたり、手をケガするリスクが高まります。少しずつ切り込みを深くしていき、段階的に切り離すイメージで進めてください。
切りくずが出たり、肉汁が飛び散りやすいため、まな板や包丁など使用後はすぐに洗い、清潔な状態を保ちましょう。
以上の手順を守ることで、冷凍肉を安全かつスムーズに切ることができます。
プロの冷凍包丁の選び方
以下の表は、プロ仕様の冷凍包丁を選ぶ際に注目すべき主な項目を表にまとめたものです。
その理由や補足を含めてまとめたものです。比較検討の際の参考にしてください。
項目 | ポイント | 理由・補足 |
---|---|---|
刃の素材 | – ステンレス鋼 – ハイカーボンステンレス鋼 | – ステンレス鋼はさびにくくメンテナンスが比較的容易。 – ハイカーボンステンレス鋼は硬度が高く、切れ味が持続しやすいが、価格が上がる傾向にある。 |
刃先の形状 | – ギザ刃(セレーション) – 波刃 | – 凍った食材にしっかり食い込みやすく、滑りにくい。 – 押し切りよりも、のこぎりのような前後の動きでスムーズに切れる。 |
刃の厚み・強度 | – 一般的な包丁よりも厚め – 剛性が高い | – 硬い冷凍食品を扱うため、刃に厚みがあるほど折れ曲がりや欠けなどのリスクが低減。 – 刃元から刃先まで均一な強度設計だと扱いやすい。 |
柄の形状 素材 | – 滑り止め加工 – 耐水・耐久性の高い素材(樹脂、合成素材など) | – 固い食材を切る際に力を入れやすく、長時間使用しても手が疲れにくい形状が望ましい。 – 水や油で濡れても滑りにくい表面加工があると安全性が高い。 |
サイズ 長さ | – 18~24cm程度が一般的 – 用途や切る食材の大きさに合わせる | – 大きい塊の冷凍肉を切るなら刃渡りの長いものが有利だが、小回りは利きにくい。 – 取り回ししやすさと切りやすさのバランスが重要。 |
重さ バランス | – 重さのある包丁は安定感が出やすい – 持ち手とのバランス | – 冷凍食品を切る場合、ある程度の重量があると切り込みやすい。 – 手首への負担を抑えるためにも、適度なバランスを確認することが大切。 |
メンテナンス性 | – 洗いやすさ – さびにくさ | – 衛生面の確保のため、分解洗浄が容易だったり、コーティングが施されているものもある。 – 冷凍食材を切った後は特に刃を傷めやすいので早めの手入れが必要。 |
ブランド・価格帯 | – 信頼できるメーカー – 業務用モデルの有無 | – プロの現場では耐久性やアフターサービスも重要。 – 安価すぎるものは切れ味や耐久性に難がある場合が多い。 – 使用頻度や目的に応じて価格と品質を検討する。 |
上記の項目を総合的に検討し、自分の使い方に合った冷凍包丁を選ぶことが重要です。特に「刃先の形状」「刃の厚み」「ハンドルの加工」に注目すると、冷凍食材を安全かつ効率的に扱えます。
おすすめの冷凍包丁!最強の一本はどれ?
それではおすすめの冷凍包丁についてお伝えしていきます。
第1位:冷凍包丁 両刃 300mm 両手式 本割込み


切れ味 | ★★★★☆ |
錆びにくさ | ★★☆☆☆ |
メンテナンス性 | ★★★★☆ |
美しさ | ★★★★★ |
価格 | 25,200円(税込) |
以下は基本的なスペックです。
刃渡り | 300mm |
刃幅 | 60mm |
刃厚 | 3mm |
刃材 | 鋼割り込みステンレス |
柄 | 強化積層木 |
価格 | 25,200円(税込) |
硬い冷凍肉などを切るのに適した冷凍包丁です。炭素鋼をステンレスで包み込む割り込み式で製造されています。

炭素鋼については、どの種類が使用されているか明言はされていません。しかし、価格からして黄紙や白紙鋼が使われている可能性が高く冷凍品を切るのに適した硬度が期待できます。
両側のハンドルをシーソーの容量で交互に押し切るように使い、プロでも使用されている冷凍包丁となっています。
マグロの刺身ブロックを小分けするために購入しました。両手で包丁を交互に下げながら使うと、しっかり凍ったブロックでも驚くほどスムーズに切り分けられます。その切れ味の良さは想像以上で、刺身ブロックの断面も非常にきれいに仕上がりました。仕上がりが美しいと盛り付けの際も映えるので大満足です。期待通りの商品で、これからも活躍してくれそうです!
第2位:實光刃物 【日本鋼】冷凍包丁


切れ味 | ★★★★☆ |
錆びにくさ | ★☆☆☆☆ |
メンテナンス性 | ★★★★☆ |
美しさ | ★★★★★ |
価格 | 39,600円(税込) 300mm 45,650円(税込) 330mm |
プロ用の包丁の一大産地となっている堺のブランドメーカーである實光包丁が手がける冷凍包丁です。
日本鋼で作られており、白紙鋼や青紙鋼に比べると硬度が劣りますが全鋼で作られています。

そのため、日本鋼の中では最大限の硬度を発揮する使用となっており、固い冷凍肉などを切ることが可能となります。
冷凍食品や凍った肉、魚を切る際に驚くほどの切れ味を発揮します。刃渡りが長く、適度な重みがあるため、硬い冷凍食材も力を無理に入れることなくスムーズに切断可能。さらに、刃先の強度と耐久性が高く、頻繁なメンテナンスを必要としません。柄は滑りにくい素材で握りやすく、長時間の使用でも疲れにくい設計です。冷凍包丁としての性能だけでなく、デザイン性も兼ね備え、プロの厨房から家庭のキッチンまで幅広く活躍する頼れる一本です。
第3位:津保吉兼作 日本製 ステンレス 片刃 210mm 波刃


切れ味 | ★☆☆☆☆ |
錆びにくさ | ★★★★☆ |
メンテナンス性 | ★★★☆☆ |
美しさ | ★★★☆☆ |
価格 | 4,610円(税込) |
以下は基本的なスペックです。
刃渡り | 210mm |
刃幅 | 42mm |
刃厚 | 2mm |
刃材 | モリブデンステンレス |
柄 | 黒合板 |
価格 | 4,610円 |
波刃型の冷凍包丁です。鋼材はモリブデンステンレス鋼なので、そこまで高硬度ではありません。

そのため、半解答の冷凍食品やカボチャなどを切るのに適した冷凍包丁となっています。ステンレス鋼なので錆びにくいのは大きなメリットとなっています。
冷凍肉を切り分けるために購入しました。最初は引いて切っており、普段より早く進む印象でしたが、途中から押し切りに変えたところ、想像以上にスムーズに切れました。以前は30分以上かかっていた作業が、今回は10分足らずで完了。とても満足しています!
業務スーパーの冷凍豆腐皮を試しに購入。カットタイプは袋からすぐ使え、簡単ではないけれど私でも切れました。丸ごと解凍は量が多く、割るのも難しいので避けていましたが、これなら便利。古い冷蔵庫でチルド保存中に部分的に凍る肉にも活用できそうです。
まとめ
冷凍包丁は、冷凍食品や冷凍肉など硬い食材を切断するために設計された特殊な包丁です。刃が鋸状や強靭な素材でできているため、通常の包丁では難しい冷凍食材の切断をスムーズに行えます。
冷凍包丁を使用する際は、適切な力加減と安全な取り扱いを心がけることが重要です。冷凍食品を扱う機会が多い方には、作業効率を大幅に向上させる便利なツールと言えるでしょう。
用途に合った冷凍包丁を選び、日々の調理をより快適にしてください。
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