ガラスキ包丁の使い方を解説!骨スキ包丁との違いは?

ガラスキ包丁(Garasuki)は、主に鶏肉や鴨などの骨付きの鳥肉をさばくために使われる和包丁の一種です。形状や用途が「骨スキ包丁(ホネスキ)」に似ています。

ガラスキ包丁

骨スキ包丁よりも一回り大きく、厚みのある刃を持つものが多いです。

ガラスキという名称には「鴨(が)を裂く」など諸説ありますが、骨スキよりも大きめの鳥(鴨・七面鳥など)をさばくのにも適したサイズ感となっています。

本日はガラスキ包丁と骨スキ包丁の違いについてお伝えした上で、使い方やおすすめの包丁についてお伝えしていきたいと思います。

目次

骨スキ包丁とガラスキ包丁の違い

まずはガラスキ包丁の特徴を似ている骨スキ包丁の特徴と比較したものが以下となります。

←ガラスキ包丁 骨スキ包丁→

ガラスキ包丁
骨スキ包丁
比較項目ガラスキ包丁 (Garasuki)骨スキ包丁 (Honesuki)比較・解説
用途・目的鴨・七面鳥・大型の鶏など、やや大きめの鳥類の解体に適しており、骨周りの肉をきれいに外せる主に鶏肉全般の解体・骨周りの肉を外す用途。鶏もも肉や手羽先などの部位取りに多用されるガラスキは骨スキより大きい鳥の解体が得意。骨スキは鶏メインで使われる
刃渡り18~21cm程度のものが多く、骨スキより一回り長め14~16cm程度が一般的で、ややコンパクトガラスキのほうが長く、大型食材でも効率良く切り進めやすい
刃の厚み
強度
骨に当たっても刃こぼれしにくいよう、厚めかつ頑丈な造りが多いガラスキに比べるとやや薄めで軽量な傾向。ただし十分な強度があり骨周りにも対応ガラスキのほうが重量と頑丈さがあり、大きい骨にも対応しやすい。一方、骨スキは軽い分操作性が高い
形状三角形に近い鋭利な刃先と、幅のある刃元が特徴。鴨などの関節周りに刃を入れやすいデザイン三角形の刃先だが、ガラスキより刃幅がやや狭く、全体的にコンパクトな印象どちらも骨周りをスキ取るために細長い三角形。ガラスキはより大振り、骨スキは細身
取り回し
操作性
刃渡りが長い分、広い範囲を一気にカットできるが、小さめの部位にはややオーバースペックになる場合も軽量かつコンパクトなため、鶏肉1羽をさばく程度であれば十分で、小回りがききやすい大型鳥(ガラスキ向き)か、標準的な鶏肉(骨スキ向き)かで選ぶ
片刃/両刃片刃が多いが、家庭用には両刃のモデルもあり。片刃のほうがシャープな切れ味だが、扱いと研ぎにはやや慣れが必要こちらも片刃・両刃があるが、両刃タイプのほうが一般家庭向けに需要が高い片刃はより繊細な切れ味を得やすいが上級者向け。両刃は汎用性が高く家庭向き
主な素材ステンレス系や炭素鋼などさまざま。骨周りを切るため、耐久性のある硬度・靭性が求められる同様にステンレス、炭素鋼など豊富。メンテナンス性を重視するならステンレス、切れ味・研ぎやすさ重視なら炭素鋼いずれも骨に当たる機会が多いので、刃欠けやサビに留意。こまめな手入れが必要
主な利用シーン鴨・七面鳥など大型鳥の解体から、鶏の骨付きもも肉や手羽周りの部位外しまで幅広く対応主に鶏肉1羽を部位ごとに外す、骨付きもも肉・手羽先のカットなどガラスキは業務用やプロの現場で大きな食材を扱うのに便利。骨スキは家庭で頻出する鶏肉中心に活躍
注意点長く重量がある分、慣れないと細かい作業にやや扱いづらい面がある大きな鳥(鴨・七面鳥など)には刃渡りが足りず、力不足を感じることがある場合も大型鳥→ガラスキ、小型~中型鳥→骨スキ、と使い分けると作業しやすい
価格帯高級モデルから一般向けまで幅広いが、骨スキに比べるとやや高めの傾向手頃な価格帯のものも多く、初心者からプロまで幅広い層が使用厚みと長さがある分、ガラスキのほうが若干高価になることが多い
総評骨スキより刃渡り・厚みがあり、大型の鳥や骨周りの作業に強い。鴨や七面鳥も扱う機会が多いなら重宝鶏肉専用に近いサイズ感で、家庭の調理では十分使いやすい。初めて専用包丁を導入するなら骨スキが入りやすいかも扱う食材の大きさや種類によって選ぶと良い。鶏肉メインなら骨スキ、大きな鳥も解体するならガラスキが最適

大型の鳥や鴨、七面鳥もさばくなら「ガラスキ包丁」が適しています。ガラスキは大きめ&厚めで頑丈なので骨にもしっかり対応可能だが、小型部位には若干オーバースペックといえるでしょう。

一方、日常的な鶏肉の部位外しには「骨スキ包丁」で十分です。骨スキはコンパクトで取り回しが良く、鶏肉1羽程度ならスムーズに捌きやすいという違いがあります。

ガラスキ包丁の具体的な使い方

大きな鳥(七面鳥や鴨など)をガラスキ包丁で捌くときの手順をお伝えします。

STEP
準備と安全対策

1.衛生・安全対策:
◯ まな板や包丁を消毒・洗浄しておく
◯ まな板の下に滑り止め(濡れ布巾など)を敷き、作業台を安定させる

2.鳥の下処理:
◯ 大きい鳥なら、内臓が取り除かれた状態か確認
◯ 表面の水気や血をキッチンペーパーで拭き取り、作業しやすいようにする

STEP
もも肉(レッグ)の取り外し

1.鳥を仰向けに置く
◯ 鳥を仰向けにして手羽を外に伸ばし、関節を確認

2.関節を探す
◯ ガラスキ包丁の先端で、関節周りの筋や腱を少しずつ切り離す

3.筋・皮を切る
◯ 関節が外れたら、最後に皮をスッと切ってもも肉を引き離す

STEP
手羽(ウイング)の取り外し

1.手羽を広げる
◯ 鳥を仰向けにして手羽を外に伸ばし、関節を確認

2.包丁の先端を差し込む
◯ 骨と骨の隙間を意識して、靭帯や筋を探りながら切っていく

3.引き離す
◯ 関節が完全に外れたら、皮を切って手羽を取り外す。

STEP
胸肉(ブレスト)の取り外し

1.胸骨の位置を確認
◯ 鳥を仰向けのまま、胸の中央の硬い骨(胸骨)を触って探す

2.胸骨沿いに切り込む
◯ ガラスキ包丁の刃先を胸骨沿いに入れ、身と骨を分けるように大きく切る

3.ささみも外す
◯ 胸骨の裏側にあるささみ部分も忘れずに切り離す

STEP
後片付け・メンテナンス

1.洗浄
◯ 血や脂などをしっかり洗い流して、包丁を消毒

2.水気を拭く
◯ 水分を残すとサビの原因になるので、しっかり拭き取り乾燥

3. 研ぎ直し・保管
◯ 骨に当たるため、刃先が微妙に傷むことも。こまめに研いで切れ味を保つ

ガラスキ包丁は魚を捌くにも使える?

魚を捌くための包丁としてはガラスキ包丁は適しているとは言えません

以下に理由をお伝えしていきます。

形状が魚捌き向きではない

魚を三枚おろしにする際には、デバ包丁柳刃包丁(刺身包丁)など、魚の大きさや工程に合わせた包丁の方が骨回りや皮引き、身の切り離しがしやすいです。

ガラスキ包丁は鶏肉の関節・軟骨を外すことを想定しているため、身を薄く切り離す工程にはあまり適していません。

切っ先・刃先の形状が合わない

魚の頭を落とす、腹骨を削ぐ、皮を引く、といった作業は、デバの形状や柳刃の長い刃がやりやすいです。

ガラスキ包丁は先端が鋭く尖ってはいるものの、刃線(刃のカーブ)が鶏の骨に沿う形状に近く、魚の骨格にフィットする形状ではありません。

身を美しく仕上げにくい

特に刺身用に切り分ける場合、ガラスキ包丁では引き切りが難しく、身を潰してしまう可能性があります。

魚料理で見た目の美しさを求める場合は、向いていません。

プロ用のガラスキ包丁を選ぶ際のポイント

プロがガラスキ包丁を選ぶ際のポイントをまとめたものが以下となります。

項目ポイント理由・特徴
刃渡り15~18cm前後が一般的
– 大きめの鶏、七面鳥などを扱うなら18cm程度
– 小型なら14~15cmでも取り回しやすい
– 洋食の現場では鶏だけでなく、合鴨や小動物(ウサギ等)を仕込みで扱う場合もある。
– 15~18cm程度の刃渡りがあれば、骨周りを外す作業に十分な長さと、狭いスペースでも使いやすい操作性の両立が可能。
刀身の形状三角形に近い形状で先端が細めのもの
– 刃先が尖り気味だと細かい骨や関節を外しやすい
– ガラスキ包丁の特徴的な刃線によって、骨に沿わせて切り進めやすい。
– 肉と骨を正確に分離する場合、スリムな先端があるとより扱いやすい。
刃の素材
鋼種
ステンレス系合金鋼ハガネ系(炭素鋼)かを選択
– ステンレス系:例)AUS-8、VG10など
– 炭素鋼:白紙、青紙など(和包丁的な鋼材)
– 洋食現場では、水分や油脂など食材が多岐にわたるため、錆びにくいステンレス系がメンテナンス性で有利。
– ただしハガネ系は鋭い切れ味と研ぎのしやすさが魅力。
プロは研ぎの頻度や扱いに慣れていることが多いので、あえて炭素鋼を選ぶケースもある。
刃の硬度(HRC)HRC 58~62前後が目安– 高硬度すぎると欠けやすくなるが、柔らかすぎると刃がすぐ丸まる。
– 鶏の骨・関節周りでの使用では適度な硬度+粘りが重要。
片刃 or 両刃– 和包丁らしく片刃のガラスキ
– 洋包丁スタイルの両刃ガラスキ
片刃タイプ:切れ味と骨スキ性能は高いが、研ぎ方に慣れが必要。
両刃タイプ:洋食現場での使用感に近く、左右対称な扱いやすさがある。
– 洋食のプロでも、和包丁の使い方に慣れていれば片刃の鋭さを好む場合が多い。
刀身の厚みやや厚めのほうが骨に当たっても刃が欠けにくい
– 極端に厚いと重くて疲れやすい
– ガラスキ包丁はデバほど厚くないが、洋包丁(牛刀など)よりは厚めのものが多い。
骨際の作業で耐久性が必要なため、ある程度の厚みがあるほうが安全かつ長持ち。
重量バランスやや前重心だと骨に切り込む作業がしやすい
– ただし長時間の作業なら軽量タイプを好む人も
– 鳥の解体は比較的短時間で一気に行う場合が多く、重量を使って骨スッキリ外すメリットもある。
– 一方で長時間連続して仕込みを行う場合や、繊細な動きが多い場合は、軽め&バランスの良い包丁のほうが疲れにくい。
メンテナンス– 洗浄・消毒の頻度が高い洋食キッチン向けに、錆びにくさ刃の欠けにくさを考慮– 炭素鋼の場合、使用後すぐに洗って拭き取り、薄く油を塗るなどの注意が必要。
– ステンレス系でも定期的な研ぎは必須。
10. 価格帯– プロ用は1万円台前半~数万円台と幅広い
– 手頃な価格でも質の良い国産ブランド多数
– 費用対効果を考えて選ぶ。プロが毎日使う道具なので、多少高めでも信頼性のあるブランドを選ぶケースが多い。
– ハイエンドモデルは匠が一本一本手仕上げするため、耐久性・仕上がりが良く、メンテナンスも行いやすいが高価。

おすすめのガラスキ包丁:正広作ローズ ガラスキ

上記の観点を元におすすめのガラスキ包丁をお伝えします。

刃材日本鋼(HRC60)
刃渡180mm
重量270g
母材厚5.0mm
本体価格18,480円(税込)
柄の材質天然木

正広(まさひろ)は、岐阜県関市に拠点を構える包丁メーカーで、プロから家庭まで幅広く支持されているブランドです。

高品質の洋包丁や和包丁を多数ラインナップしており、特に「MBS-26」と呼ばれる独自開発のステンレス刃物鋼を用いたシリーズや、炭素鋼を使用した包丁などが有名です。

正広のガラスキ包丁は炭素鋼の中ではハイスペックな部類ではないですが、HRCは60とガラスキ包丁に適した硬度となっています。硬すぎると骨を断つときに割れてしまいかねないですからね。

青紙鋼、白金鋼、黄紙鋼の特性

重量もバランスのよい270gという水準で実用的なガラスキ包丁となっています。

料理人の口コミ

鋭い切れ味が長く持続し、肉の繊維を潰さず美しい断面を得ることができます。ハンドルは天然木のローズウッドを採用し、見た目の美しさと握りやすさを兼ね備えています。伝統的な技術と現代的なデザインが融合したこの包丁は、洋食の現場でその性能を存分に発揮します。

まとめ

ガラスキ包丁は、主に鶏肉や鴨などの骨付き肉を解体するための和包丁で、骨スキ包丁よりも一回り大きく、厚みのある刃が特徴です。

その形状により、骨周りの肉をきれいに外すことができ、大型の鳥類の解体にも適しています。ただし、魚の捌きには適していないため、用途に応じて包丁を使い分けることが重要です。

プロが選ぶ際は、刃渡りや素材、刃の硬度などを考慮し、扱う食材や作業内容に最適なものを選ぶと良いでしょう。



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