洋包丁の種類を一覧にして紹介!

洋包丁の種類を一覧にして紹介!

包丁といっても大きくわけて和包丁と洋包丁に大別されます。

基本的に両者の違いは以下となっています。

和包丁洋包丁
刀の形片刃が主流両派が主流
種類用途別に豊富汎用性高いものが多い
鋼材高炭素鋼で切れ味がよいステンレス鋼などの軟鉄
製造方法本焼包丁の他に霞包丁という合わせ鋼形式のものもある基本的には一枚の鋼材で仕立てる
メンテナンス日頃の環境やメンテナンスに十分な注意が必要和包丁より錆びにくく、メンテナンスは簡単でよい

詳しくは以下記事をご覧ください。

前回、和包丁の種類についてお伝えしていきましたが、今回は洋包丁の種類についてお伝えしていきたいと思います。

目次

万能型の包丁

和包丁の万能型として、三徳包丁を紹介しました。洋包丁については牛刀とペティナイフが挙げられます

牛刀

牛刀包丁

牛刀包丁は、もともと肉を切るために用いられてきた洋包丁の一種で、欧米のシェフナイフ(Chef’s Knife)に相当します。

牛刀包丁
  1. 刃の形状
    刃先がやや尖った形状で、刃全体にかけて緩やかなカーブを描いています。この曲線形状により、食材に応じて「押し切り」「引き切り」「ロッキングカット(前後へ揺するような動き)」など様々な切り方を行いやすい設計となっています。
  2. 用途
    「牛刀」という名前には牛肉向けという由来がありますが、実際には肉、魚、野菜といった幅広い食材に対応できる汎用性の高さが魅力です。特に、肉をスライスしたり、塊をさばく時にスムーズな切り込みを実現しやすく、洋食や多国籍料理にも適しています。
  3. 刃渡り・重量
    刃渡りは18cm~24cm程度が一般的で、包丁そのものは中重量~やや重めのものが多い傾向にあります。その分、肉や硬めの食材を切る際の安定感やパワーが得られます。
  4. 特徴的な使用感
    曲線的な刃により、まな板上を円弧を描くようにカットでき、軽快な操作が可能です。引き切りや押し切りを組み合わせることで、食材を潰さず、滑らかな断面でカットできます。

三徳包丁より長めの汎用性の高い包丁です。

三徳包丁は「野菜・肉・魚」すべてを平均的にこなせる「万能包丁」で、家庭料理の定番。一方、牛刀包丁は特に肉の処理が得意で、大量調理やプロの現場で重宝されることが多いです。

肉だけでなく、野菜や魚も切ることができるので、プロの料理人にも愛用される万能的な包丁となっています。特に「押し切り」や「引き切り」といったさまざまな切り方に対応し、包丁さばきの幅を広げてくれます。

ペティナイフ

ペティナイフ

ペティナイフは小さく軽量で扱いやすいため、細やかな下ごしらえ作業や飾り切りを得意とする、キッチンには欠かせないサブ的存在の包丁です。

ペティナイフ
  1. 刃の形状
    刃渡りが短く(10~15cm程度)、刃先が細く鋭く尖っていることが多いです。また、全体的にスリムでコンパクトなため、手元での細かい操作が容易になります。
  2. 用途
    野菜や果物の皮むき、細かい飾り切り、トリミングなど、繊細な加工が求められる作業に最適です。大きな包丁では扱いにくい、手のひらサイズの食材や細やかな下ごしらえ作業をスムーズにこなせます。
  3. 刃渡り・重量
    刃渡りは10cm前後から15cm程度が主流で、非常に軽量です。扱いやすく、女性や初心者でも安心して使用できるサイズ感が特徴です。
  4. 特徴的な使用感
    コンパクトなため取り回しがしやすく、手元でのコントロールが容易です。食材に対して繊細な角度で刃を入れることができるため、皮むきや飾り切りなどの丁寧な作業で、正確かつ美しい仕上がりが得られます。

洋菜切

洋菜切

洋菜切は、和包丁の菜切包丁をベースに、洋包丁スタイルの要素を組み合わせた、野菜のカットに特化した包丁です。以下の特徴があります。

洋菜切
  1. 刃の形状:
    日本の菜切包丁に近い四角い刃先を持ちながら、洋包丁の設計思想やハンドル形状が取り入れられているのが特徴です。両刃仕上げが多く、菜切包丁同様、刃先がほぼまっすぐでまな板に対して平行に当てやすい形状をしていますが、洋包丁に準じたハンドルややや厚めの刃身を採用している場合もあります。
  2. 用途:
    主に野菜を切るために用いられます。キャベツや白菜などの大きな葉物をザクザク切ったり、ニンジンや大根などの根菜を輪切り・細切りにするなど、日常的な野菜の下ごしらえ全般で活躍します。刃先が四角く、刃がまっすぐなため、まな板に対して上下動で細かいカットを繰り返しやすく、千切りやみじん切りもスムーズに行えます。
  3. 刃渡り・重量:
    一般的には16~18cm程度の刃渡りが中心で、洋包丁のハンドル構造や素材が採用されている場合、適度な重量感とバランスを両立したモデルが多いです。従来の和包丁の菜切包丁よりやや重めの設計になることもありますが、握りやすいハンドル形状によって扱いやすさが確保されています。
  4. 特徴的な使用感:
    菜切包丁由来の“トントン”とまな板に当てる連続的なカットが行いやすく、刻んだ野菜を刃先からすくい上げる動作もしやすい点が魅力です。洋包丁のハンドルでグリップ感が向上しているため、慣れ親しんだ握り方で野菜を素早く効率的に処理できます。両刃であることでメンテナンスや研ぎの面でも扱いやすく、洋食・和食を問わず幅広い調理シーンで重宝されます。

洋菜切は「日本の野菜専用包丁の使いやすさ」と「洋包丁のグリップや設計」を融合させた、家庭からプロの現場まで幅広く対応できるハイブリッドな野菜用包丁と言えます。

肉や魚を切る用

肉切り用として万能型の項目で牛刀包丁をあげましたが、この項目では肉に特化した専門包丁をお伝えしたいと思います。

筋引包丁

筋引包丁

筋引き包丁は、西洋包丁の影響を受けた日本の包丁の一種です。肉類の筋や脂肪を正確に処理し、スライスするのに特化した長い刃を持つ包丁です。以下の特徴があります。

筋引き包丁
  1. 刃の形状
    刃渡りが長く、細身で、先端に向かってゆるやかに細くなっていくシルエットを持っています。両刃で、直線的な刃先が主流。長くシャープな刃により、肉の筋や膜、脂肪を的確にカットし、スライス作業を滑らかに行うことができます。
  2. 用途
    主に肉の下処理やスライスに用いられます。牛肉や豚肉の筋を取り除いたり、ローストビーフを薄く均一な厚さにカットしたり、大きな塊肉を美しいステーキ用カットに仕上げるなど、肉料理全般で力を発揮します。また、骨から身を外したり、魚をスムーズに切り分けるといった用途にも使われることがあります。
  3. 刃渡り・重量
    刃渡りは24~30cm程度が一般的で、細長い形状のため比較的軽量なものが多いです。長い刃は一気に引き切る動作が可能で、食材の断面をなめらかに仕上げることができます。
  4. 特徴的な使用感
    細身で長い刃により、引き切りがスムーズに行え、食材の繊維を崩さずに切断できます。特に肉料理では、筋や膜を確実に処理し、薄く美しいスライスを実現するため、仕上がりの美観と食感の向上に寄与します。扱いに慣れると、プロの料理人でなくてもレストランクオリティの盛り付けが可能になります。

総じて、筋引き包丁は肉の下ごしらえからスライスまで幅広い作業で力を発揮する「肉料理のエキスパート」とも言える万能的な一本です。

骨スキ包丁

骨スキ包丁

骨スキ包丁は、肉や魚の骨に沿って身を丁寧に削ぎ取ることに特化した和包丁の一種です。以下の特徴があります。

骨スキ包丁
  1. 刃の形状:
    刃先が細く尖っており、根元から先端まで緩やかにカーブしています。片刃あるいは両刃のタイプがありますが、どちらも先端部分が鋭く、骨と身の間に刃を差し込みやすい設計です。刃身は比較的薄めで、狭いスペースでもコントロールしやすくなっています。
  2. 用途:
    肉や魚の骨に沿って、余分な筋や骨を外しながら必要な身だけを取り分ける作業に特化しています。鶏肉をさばいて骨から外したり、鰤や鮭などの魚から骨と身を分けたりと、細かなトリミングが求められる場面で重宝されます。
  3. 刃渡り・重量:
    刃渡りは12~18cm程度が一般的で、他の和包丁と比べると短め・軽量のものが多いです。短く細い刃身によって、自由な角度で刃を入れやすく、手元で細かい動作を行うのに適しています。
  4. 特徴的な使用感:
    鋭い先端が骨と身のすき間に入り込み、細やかなカットを行えます。大きな包丁では届きにくい部分でも正確な作業ができるため、後処理の効率がアップし、ロスを最小限に抑えながら、きれいな仕上がりを得られます。骨スキ包丁を使いこなせば、丁寧な下処理が求められる和食や洋食の現場で、見た目にも美しく、食感の良い肉・魚料理を仕上げることが可能となります。

総じて、骨スキ包丁は肉や魚を無駄なく処理し、身をきれいに取り外すための専門性の高い一本であり、プロから家庭料理まで幅広く活用されている頼もしい包丁です。

洋出刃

洋出刃

洋出刃は、伝統的な出刃包丁の厚みと骨ごと切り落とす力強さを持ちながら、洋包丁(西洋包丁)のスタイルや持ち手などの要素を組み合わせた包丁です。以下の特徴があります。

洋出刃
  1. 刃の形状:
    和の出刃包丁と同様、厚みのある頑丈な刃身を持ちますが、洋包丁のテイストを取り入れた両刃仕様や、西洋スタイルのハンドルデザインが多く見られます。刃先は幅広で、根元側が分厚く、先端に向かってやや細くなる形状で、骨を断ち切る力強さとスムーズなカットを両立しています。
  2. 用途:
    魚の頭や骨を落としたり、三枚おろしの際の力仕事を行う目的で使われる点は、和の出刃包丁と共通です。特に、洋食現場で肉や魚の骨付き部位を扱う際にも対応できるように設計されており、肉・魚どちらも処理しやすい汎用性を備えていることが特徴です。
  3. 刃渡り・重量:
    刃渡りは15~18cm程度が中心で、和の出刃包丁ほどの長さがない場合もあります。重量感はしっかりありつつも、洋包丁ならではのグリップ感があるため、握りやすく、パワーを伝えやすい設計になっています。
  4. 特徴的な使用感:
    厚みと重みを活かして骨ごと一気にカットできる点は出刃の特性を受け継ぎながら、両刃仕上げや洋式のハンドルにより、右利き・左利き問わず扱いやすく改良されているものが多いです。和の出刃よりも柔軟に使えるため、和洋問わず幅広い料理場面で重宝され、手入れや研ぎにも馴染みやすい作りになっているのが魅力です。

洋出刃は「出刃包丁」の骨太な性能を洋包丁のスタイルに融合させた一本であり、料理の幅が広い現代のキッチン環境で、肉や魚の骨付き部位の処理をスムーズに進めたい方に適した包丁です。

クレーバー

クレーバー包丁

クレーバー包丁は、主に肉の骨を叩き切ったり、大きな塊の食材を豪快にカットするために特化した西洋式の重厚な包丁です。以下の特徴があります。

クレーバー包丁
  1. 刃の形状:
    厚みのある大型の長方形状の刃が特徴で、幅が広く重量感を備えています。刃先自体は直線的、またはややカーブを帯びた形状の場合がありますが、いずれも刃厚がしっかりと確保されており、骨付き肉や硬い素材に対応できる構造になっています。柄(ハンドル)は握り込んだときに力を伝えやすい形状が採用されることが多いです。
  2. 用途:
    主に牛や豚、鶏などの骨付き肉を解体・分割するために用いられます。重量を活かして骨を叩き切ったり、硬い部位を一気に割るといった力仕事に最適です。また、キャンプやアウトドアで、大ぶりの食材を大胆にカットする際にも利用されることがあります。一般家庭よりは、食肉処理場や肉料理専門店など業務用の現場で重宝される場合が多い包丁です。
  3. 刃渡り・重量:
    刃渡りは15~20cm程度が多いですが、刃の厚みや幅が大きく、非常に重い作りになっているのが特徴です。重量が1kg近くあるモデルもあり、この重さが骨などの硬い部分を切断する際の衝撃力となります。
  4. 特徴的な使用感:
    大型で重いため、通常の包丁のような細やかなコントロールはしにくい反面、切断力・破砕力は抜群です。腕や肩から振り下ろして骨をたたき切るなど、強い力を要する動作が想定されています。その一撃のパワーで、厚い骨や硬い関節もスパッと断ち切ることが可能です。ただし、研ぎやメンテナンスもほかの包丁より手間や工具を要する場合があります。

クレーバー包丁は「重量を活かした切断力」に秀でた西洋式の骨付き肉専用包丁であり、プロの現場やアウトドアで大きな食材を豪快に処理したいシーンにおいて、非常に頼りになる一本といえます。

その他の特殊包丁

その他の特殊な目的の包丁についてもお伝えしていきます。

パン切り包丁

パン切り包丁

パン切り包丁は、パンや焼き菓子などを潰さずにきれいにスライスすることに特化した包丁です。以下の特徴があります。

パン切り包丁
  1. 刃の形状:
    刃先にギザギザ(波刃)が付いているのが最大の特徴で、硬めのクラスト(パンの外皮)や柔らかなクラム(内側の生地)に対しても均一に切り込めるよう設計されています。刀身はやや薄めで、長さは比較的長めのものが一般的です。
  2. 用途:
    主に食パンやバゲット、ベーグルなど、さまざまなパンをカットするために用いられます。外側が堅いパンでも刃が滑らず、潰さずに切ることができ、スポンジ生地のケーキなど、柔らかく崩れやすい焼き菓子にも適しています。表面が固く中が柔らかな食材をつぶさずにスライスしたいときに重宝します。
  3. 刃渡り・重量:
    刃渡りは20~25cm程度の長めのものが多く、幅や厚みはさほど大きくありません。軽量な設計のものが多いため、連続してスライスする作業でも疲れにくく、パン全体を一気にスライスできる長さを確保しています。
  4. 特徴的な使用感:
    波刃構造によって、断面にかみ込む力が高まるため、パンの表面をスムーズに「削りながら」切断しやすい点が魅力です。柔らかいパンの断面も崩れにくく、切り口がきれいに仕上がります。また、刃先を大きく引きながら、ぎこぎことノコギリのように使うことで軽い力でもスライスを進められるため、パンくずの飛び散りも比較的少なく抑えられます。

パン切り包丁は「柔らかな生地の保持」と「硬い外皮の切断」を両立するために波刃を採用した専門性の高い刃物で、パン好きやパン屋さんだけでなく、家庭のキッチンでも一つあると非常に便利な一本と言えます。

冷凍包丁

冷凍包丁

冷凍包丁は、凍ったままの食材を切り分けるために特化した包丁です。以下の特徴があります。

冷凍包丁
  1. 刃の形状:
    全体的に幅広で、刃元から先端までしっかりした厚みを持つ設計になっています。刀身の背(峰)部分には、先端付近に突起のような形状があり、ここを押さえたり、手やプレスを当てて力をかけることで、硬い冷凍食材をカットしやすくする工夫が施されています。
  2. 用途:
    かちかちに凍った肉や魚などを解凍せずに切り分ける際に最適です。大きめの冷凍ブロックを用途に合わせて小分けしたい時や、一部分だけ切り取って使いたい時などに役立ちます。
  3. 刃渡り・重量:
    刃渡りは30cm前後の長めのモデルが多く、冷凍食材に力を入れて切り込むための十分な重さと厚みを備えています。一般の包丁よりも重量があるため、上から押し下ろす動きで硬い食材を割る・切る際に、効率よく力を伝えられるのが特徴です。
  4. 特徴的な使用感:
    刃に厚みがあり、背の突起(出っ張り)を利用して体重をかけたり、プレスを当てたりすることで、固い冷凍ブロックでも力任せにならず安定して切断できます。波刃・鋸刃が付いていないタイプでも、頑丈な刃が凍った表面をスムーズに捉えやすく、滑りにくい設計になっています。

この形状の冷凍包丁は、硬く凍った食材を“安全かつ確実に”カットするために特化した設計が特徴で、プロから家庭まで幅広い現場で冷凍庫の効率的な活用をサポートする一本といえます。

まとめ

繊細さを求める和包丁に比べて、洋包丁は肉や骨を断つなどの豪快な使用用途のものが多くなっています。

自身の利用用途にあった洋包丁を選びましょう。

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